ママカーストは、ドラマの中だけの話と思っていませんか。これは幼稚園激戦区で目撃した、ママ達のパワーバランスの話。カーストの頂点に君臨するボスママのお願いを断り切れず、妊婦のAさんは、他人の子の為に、幼稚園入園願書の行列に徹夜で並びました。その結末とは・・・。
2016年の新語・流行語大賞の候補に「保育園落ちた日本死ね」が入っていましたが、保育園に負けず劣らず、幼稚園も激戦なのを知っていますか?
少子化とダブルインカムが、スタンダードになった昨今、幼稚園は園児を確保する為に、サービスを向上させて、他園に差をつけようと躍起になっています。
そのため、人気の幼稚園は、2歳児向けのプレに通わないと入園できなかったり、入園願書の争奪戦がおきたりと、壮絶なのです。
我が家の近所にある幼稚園は、まさに入園希望者が殺到する超人気園。入園願書の受付は、先着順で入園が決まることから、受付前日は、徹夜で親御さん達が行列をつくるのが、風物詩になっています。
昨年の入園願書受付日は、シンシンと冷たい雨
が降る日でした。夕方の買い物を終えて、帰宅する途中に、その幼稚園の前を通りかかると、ご近所のAさんが入園願書の行列に並んでいます。
「あれ?Aさんの子は、この幼稚園の年長さんのはず。しかもこの前、妊娠中って話していたのに、こんなに寒い日に何で外にいるんだろう」
不思議に思って声をかけると・・・なんと、我が子の為じゃなく、他人の子の為に、確実に入園できる先頭で並んでいたのです。
Aさんに依頼したのは、幼稚園のママ仲間のBさん。クラスの中心人物で、ママカースト頂点に君臨するボスママ的存在の華やかな人でした。Bさんは最初、「うちの子が、Aさんのお子さんとお泊まりしたいって言ってるの。ぜひ手ぶらで来てちょうだい」というお誘いをしてきました。
ところが「もうすぐ入園願書の受付日よね。うちの下の子も、同じ幼稚園に入れたいのに、兄弟枠がなくて、あの行列に並ばなくちゃいけないんだって。途中でバトンタッチするから、行列に並ぶのを手伝ってくれないかな。Aさんの子はお泊まりで面倒みてあげるから」と話が変わっていったそう。
人の良いAさんは断り切れなくて、引き受けてしまいました。
「妊婦って言っても、いつもは息子を追い回しているしね。安定期だから心配いらないよ」と言っていましたが、雨の中で傘を差しながら、ずっと立っているなんて、妊娠中の体にいいはずがありません。
あまりに心配で、その場で温かい飲み物を買って手渡し、「Bさんが来たら、Bさんと旦那さんで交互に並ぶように、きちんと話した方がいいよ」と言い含めました。
結局、Aさんは17時~22時、深夜3時~翌朝7時まで、9時間以上並びました。
朝7時すぎ、Bさんがやってきて「ありがとう!代わるね!」と行列に滑り込もうとしたところ、周囲の人達からブーイングが起きたのです。
実は、長時間一緒に並んでいるうちに、親御さんの間に、徐々に仲間意識が芽生えていました。交代交代でトイレに行ったり、食事を買いに行ったりと、協力する内に、Aさんが、他人の子の為に並んでいる事情を知ったのです。
「親族じゃない人を長時間並ばせるなんて酷いし、ずるいじゃないか!」と不満を露わにする人達に責められて、流石のBさんもアワアワ・・・。
結局、幼稚園側が「親族以外が代理で並ぶのはNG」と言い渡し、Bさんの子の入園願書は受理されず、入園できなかったそうです。
「あなたのせいで、兄弟で別々の幼稚園になった!もう話しかけないで!」そう激怒するBさんから縁切りされて、Aさんはホッと一安心。今は、ママカーストとは一線を引いて、幼稚園ママ達とお付き合いをしているそうです。
やんちゃな1歳男児と、おしゃまな4歳女児のママ。幼稚園、保育園、ご近所のママコミュニティを回遊中。
ファンファン福岡 から転載